音楽と波動 Khatia BUNIATISHVILI

先日、ピアノのリサイタルにいってきました。サントリー大ホールです。奏者は、Khatia Buniatishvili カティア・ブニアティシビリです。日本語の表記はカティア・ブニアティシヴィリになっているようです。(以下Khatiaと略して記載します。)日本人にはなかなか覚えずらい名前だと思います。
これまで数回来日しているのは知っていたのですが、クラシックファンでもないので、気づいたときにはいつもチケット売り切れでした。今回もぎりぎりのタイミングですが、後ろの方の席に参加できました。見える範囲でP席の端の方とかは空いていましたので、当日でも席もあったのかもしれません。

わたしは音楽の中では、クラシック、オーケストラと合唱が好きです。どちらも大勢の人間が共同で生み出す音楽という点で価値があると思います。合唱は、例えばオーケストラと一緒に合唱するレクイエムのようなのが好きですが、学校の文化祭や音楽会でやるような合唱なんかも好きです。

すばらしい音楽に出会えると、体をさーっとさざ波のような波動が走ります。イコール感動しているということなのだと思いますが、そういう波動に出会える頻度が高いのがクラシックや合唱だと思っています。体が震えるような感動に出会えたときは、生きててよかったーと思います。普通の学校の音楽発表会なんかでも感動することもあります。つたなくても、魂のほとばしりのような演奏に出会えることもあります。よい音楽を聴くと自分の波動を上げることにもなると思います。

さて今回のKhatiaの演奏ですが、轟音でのドライブ感のすごさと、静かな曲の部分では音の美しさを堪能できました。

出だしのベートーベンの熱情では第一楽章はよかったものの段々と特に第三楽章で「乗れなさ」を感じ、大丈夫かなと思いました。(演奏自体は十分上手だったと思います。)  熱情演奏中から、心の中で応援などの言葉を心をこめてKhatiaに送りました。
熱情の演奏後、椅子の位置を何度も調整していましたので、乗れなさの原因だったのかもしれません。Khatiaが何度も椅子を調節するもので、オーディエンスの笑いがでていました。こういうとき、微笑ましく笑ったほうが奏者の気持ちがほぐれるのか、かえってプレッシャーになるので静かにしておいた方がよいのか迷うところです。

2曲目のドン・ジョヴァンニの回想以降はすごくよかったです。尋常ならざる指の動きでした。この曲で休憩というのもうなずけます。

休憩では、少しおしゃれした紳士淑女がカフェでワインを楽しんでおられる姿が多数ありました。条件反射のように、対照的にアフリカや紛争地域などの過酷な環境で生きているる子どもたちのことやフィランソロピーについて連想しました。日本に住んでいる自分たちは恵まれていてありがたいと実感しました。
わたしもワインを飲んでみたかったですが、飲んだら最後、体質上アルコールの作用で意識の感度が落ち、音楽を楽しむことができなくなるのでやめました。

休憩後の演奏に戻って、くるみ割り人形もつやのある演奏でとてもよかったです。普段余り聞かない曲を聴くのも楽しいです。ただ、残念ながらステージ後方のP席に座っている人が曲の途中からカメラを回し始め、そのレンズに光が反射して目に入るようになり気が大幅に削がれました。禁止事項ですし、他人に迷惑になることは慎んで欲しかったです。

演奏予定曲の最後、ハンガリー狂詩曲では極めつけの轟音炸裂という感じでした。波動という点でも素晴らしかったです。出だしから体が震えました。少し聞いただけで、Khatiaが最も弾き届けたかったのはこの曲だなと思いました。Khatiaの気迫がびんびんと伝わり、自分の中でも熱い気持ちが起きました。心の中でKhatiaにお礼を言いました。

演奏リスト

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第23番 ヘ短調 op.57 「熱情」
Beethoven: Piano Sonata No. 23 in F minor Op.57 ” Appassionata ”
リスト:ドン・ジョヴァンニの回想
Liszt: Réminiscences de Don Juan
チャイコフスキー:くるみ割り人形(プレトニョフ編曲)
Tchaikovsky-Pletnev: Nutcracker suite
ショパン:バラード4番 ヘ短調 op.52
Chopin: Ballade No. 4 in F minor Op. 52
リスト:スペイン狂詩曲
Liszt:Spanish Rhapsody
リスト:ハンガリー狂詩曲第2番(ホロヴィッツ編)
Liszt- Horowitz:Hungarian Rhapsody No.2

アンコール

ドビュッシー:月の光
リスト:メフィストワルツ1番(終盤の盛り上がるところだけ)
ヘンデル:メヌエット
ショパン:前奏曲ホ短調


Amazon.co,jpアソシエイト

 

KhatiaのCD ラフマニノフ

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲2、3番のCDを会場で購入しました。家で聞いてみましたが、特に3番の方が好きなのでよかったです。ピアノが目立つような音作りのような気がしました。卓越した演奏だと思います。