奥秩父の霊峰 雄大な岩稜歩きの金峰山登拝 トラブルもあったが何とか登れた
6月中旬に奥秩父の登山をしました。奥秩父の山は余り知らなかったのですが、今回の登山で少し勉強し、金峰山、甲武信ヶ岳への1泊2日縦走を計画しましたが、2日目の天気予報がよくないことから縦走は見送りました。日帰りで甲武信ヶ岳か金峰山のどちらかか、コース検討で時間的にどちらも難しいようなら瑞牆山に登ることにしました。
甲武信ヶ岳は以前から知っていた霊山(だろうと思います)で、金峰山は奥秩父山域のマップを見ていて発見し候補にしました。金峰山は全然知らない訳ではなく、ヤマノススメというTVアニメで主人公と親友が瑞牆山から金峰山への縦走を目指したが、瑞牆山で足を痛め金峰山の方は取りやめたというストーリーを見たことがあります。
行き先検討の上で甲武信ヶ岳、金峰山どちらも日本百名山で日帰りが可能ということまで調査し、決め切れないまま一晩寝たら翌日には金峰山に行くことが心の中で決まっていました。理由は今後より高い山に登ることを想定して、金峰山の2599mの標高に魅力を感じたからかなと思います。
当日の服装:
登山用のインナー、ミッドシェル、トワイライトパンツ、薄い手袋でした。アウターは2枚ほど用意しましたが使いませんでした。帽子はなしの人も多かったですが、天気がよかったのであるほうがよいです。
当日の飲料:
500ml×2、350×1用意しました。水場もところどころありましたので少し補給はしました。
金峰山の登山ルート
登山ルートは大きく次の4つのコースがありました。
- 千代の吹上コース
- 大弛峠コース
- 金峰山荘・廻り目平コース
- 表参道(古道)コース
参考リンク先:日本アルプス登山ルートガイド サイト内で金峰山を検索
コースを検討した結果、瑞牆山荘から出発して千代の吹上コースで登ることにしました。下山は金峰山荘・廻り目平コースを利用しました。千代の吹上コースは眺望がよく、岩稜の登山路がダイナミックで荒々しくすばらしいコースでした。
注:金峰山荘は廻り目平にある標高1570m地点の村営のペンションのようなお宿です。似た言葉で金峰山小屋があり、こちらは金峰山頂に近い山小屋になります。
金峰山荘・廻り目平コースは頂上と金峰山小屋の間は大きめの石の登山路で面白いですが、金峰山小屋より下は樹林帯をゆく穏やかな表情のコースでした。それなりの傾斜はありますが、歩きやすい登山路です。千代の吹上コースの方が断然厳しく面白いので、登りは千代の吹上コースがよいと思います。
その他、大弛峠コースは縦走でもない限り、標高2365mの大弛峠から登るので、金峰山まで標高差が2599m-2365m=234m、往復した場合の累積標高差は約570mで比較的楽な登山になります。もし大弛峠を基点に累積標高差1000mクラスの登山をしたい場合、次のようなコース取りが考えられると思います。
・大弛峠→金峰山→大日岩→金峰山→大弛峠
累積標高差の登りが約1000mで、千代の吹上コースの登り下りも経験できる。
・大弛峠→北奥千丈岳→国師ヶ岳→天狗岩→国師ヶ岳→金峰山→大弛峠
一旦金峰山とは逆方向の北奥千丈岳、国師ヶ岳、天狗岩まで足を延ばしてから金峰山に登山し大弛峠に戻ると累積標高差の登りが約1000mになる。夢の庭園に寄ることも可能。
参考リンク先: ニッポン旅マガジン サイト内検索で 夢の庭園 を検索
表参道(古道)コースは修験の古道ということなので興味深いです。表参道(古道)コースと大弛峠コースを組み合わせるのも面白そうです。中上級者向けっぽいです。
金峰山 登拝記 瑞牆山荘~大日岩
瑞牆山荘前の登山口
登山口は瑞牆山荘のすぐ目の前でした。バスで到着するとみずがき山荘バス停のすぐ目の前でもあります。駐車場は休日ですとすぐにいっぱいになるようです。また土日はバスも込み合うようです。道路が狭いので余り大型のバスを用意できないのが一因のようです。瑞牆山荘にはトイレがあり、¥100だったと思います。
瑞牆山荘近くの出発点
瑞牆山まで2時間50分、金峰山まで4時間10分との記載です。
水場
瑞牆山荘前から登山を開始して、30分も経たないくらいで水場への分岐がありました。(写真なし。)空のペットボトルを用意しておけば水の補給ができます。富士見平小屋のWebサイトによればおいしい軟水とのことです。わたしは出発したばかりで水を消費してなかったので、寄りませんでした。
富士見平小屋
その後暫く登りの道を歩くと富士見平山小屋に着きました。登山口から30分~40分程度だと思います。
富士見平小屋
ここでは手造りの小物などがいろいろと売っていました。スコーンとかスタッフケーキなども。Webサイトを見ると、若あるじと若おかみのオリジナル革小物などもあるので、ご夫婦で経営しているようです。トイレあり、利用料¥100です。ここで少し道草してお土産を購入しました。
参考リンク先:富士見平小屋
鷹見岩分岐
富士見平山小屋を出て、平坦な道を30分程度歩くと鷹見岩分岐です。
横八丁
金峰山への道のりでは富士見平小屋~大日岩までに横八丁があり、横八丁の次に縦八丁があります。暫く横八丁として横になだらかな、時には下る登山路が続きました。
シャクナゲも少し咲いていたのですが(写真なし)、大体シーズンは終わったようでした。
縦八丁と大日岩、大日岩分岐
少しズームしています。
遠くに見える雪を抱いた山が何山かまではわかりませんでした。雪がまだあるくらいですから3000m級の北岳や、間ノ岳、農鳥岳あたりでしょうか。違うかもしれません。
大日岩
迫力がある大きな岩です。岩登りが好きな人は登るのではないでしょうか。
大日岩を過ぎると登りになります。
この辺りで、ちょっとしたミスをしていることに気付きました。地図をプリントして持ってきたのですが、金峰山でなく瑞牆山の地図を持ってきおり、ちょっぴりあせりました。おまけにスマホGPSの奥秩父のマップもセットできていなかったので使えません。(; ^ ー^) 下山までのコースタイムがわからなくなりました。今更行き先変更することなど全く考えられなかったので、このまま金峰山を目指すことにしました。現地の案内標識のコースタイムは、登山口から瑞牆山まで2時間50分に対し金峰山まで4時間10分と約1時間20分多いですが、下りで少し急げば何とかなるだろうと思いました。
ところで、大日岩の横の縦八丁を登っていた時、ふと大日岩に分岐があったはずだと思い出しました。大日岩の案内板は既に通過しているのに分岐を見た記憶がありませんでした。もしかして分岐を見落としたのかと思い、その場合間違いのルートを進んでいる可能性があります。ですので大日岩に戻ってしまいました。大日岩より少し逆行しましたが分岐は見つからなくて、逆行をやめ大日岩の上まで登ったところで分岐にたどり着きました。
逆行したりスマホがつながらないかうろうろしたりでとんだ時間ロスをしてしまいました。やれやれです。(; ^ ー^) GPSを用意しておくべきでした。
大日岩分岐
大日岩分岐では左が八丁平、右が金峰山になります。
案内表示で金峰山まで1時間50分とありますのでまだまだ先は長いです。
険しい登り
大日岩の分岐を過ぎるとかなり険しい登りが続きました。ここも縦八丁に含まれるのかもしれません。この長い樹林帯の登りが行程中一番きつかったです。しかし登り応え十分です。
この登りですれ違った人に、もう少しで上に出るからと励まされました。よっぽど青息吐息で登っているように見えたのでしょうか。実際、数日前から左足の足底に違和感があり、左足を無意識にかばっていたようで、逆足の右ひざに痛みが出ていましたので不安な気持ちになっていました。両足をいたわりながらゆっくりと地道に登り続けました。
砂払ノ頭~千代の吹上~金峰山頂
森林限界の砂払ノ頭
そして何とか稜線に出ました。
稜線に出ると急に視界が広がり気分がよくなりました。
下は砂払ノ頭を象徴する岩だと思います。
砂払ノ頭は、ヤマケイサイトの国土地理院の地図システムでは森林限界と表示され、高度は2420.9mと表示されます。かなりの高所です。なお同じ地図で金峰山頂上では2599mのところ2584.7mと表示されましたので誤差はあると思います。砂払ノ頭とは、高度分岐のこの位置から下は樹林があり砂風が吹いてきてもここで砂が払われるという意味なのではないかと思います。
稜線の岩登り
このような岩登りが千代の吹上コースのクライマックスの一つでしょう。アイゼンの傷がたくさんついていました。
足がすくむ千代の吹上
千代の吹上と稜線の眺望
金峰山の頂上はこの写真では見えませんが、実際は見えています。まだまだいくつかのピークを越えていかねばなりません。
尾根道からの崖 千代の吹上
急な崖を見下ろすと、足がすくみました。
稜線からの眺望
写真に見える山は2418.4mの小川山?でしょうか。
稜線のピーク
稜線を歩くのは登りが結構きつくて余り余裕はないのですが、ホントに気持ちよくて口癖のように気持ちいいーと独り言が出てしまいました。風がそこそこあり、気持ちよかったです。汗をかいた体には寒いくらいでしたが、何か羽織るほどではありませんでした。
岩登りは楽しかったです。
神が宿る五丈岩
五丈岩
五丈岩についたので、まずは鳥居の中でお詣りをしました。軽く祝詞をとなえ、お祈りをしましたところ大変神秘的なお祈りができました。金峰山の神さまは何と神々しいのでしょうか。神さまですから神々しいというのでしょうけど。(; ^ ー^) ここまで登ってきた甲斐が大いにありました。非常に貴重な瞬間です。五丈岩は神が宿るといいますが、確かにこの辺りはその通りのようです。金峰山の山域一帯は神さまの領分になると思います。
五丈岩は登山口の金櫻神社や金峰神社の本宮になるとのことです。
五丈岩は登るのは無理そうでした。五丈岩の上が山頂かと思っていましたが実は五丈岩のすぐ横に小山がありそちらが頂上でした。
道迷い等途中でありましたが、瑞牆山荘の登山口から約3時間半と予定より少し早めに着いたので気持ちに余裕ができました。
金峰山山頂
山頂と道標
左に行くと金峰山小屋、川端下(金峰山荘、廻り目平コース)。右に行くと黒平、昇仙峡(表参道、古道コース)。前方は、大弛峠(大弛峠コース)。後方は大日岩、瑞牆山(千代ノ吹上コース)です。
わたしは大体1800~2000m超くらいで高山病の症状が出てくることが多いです。金峰山頂は2599mということで高山病の症状を心配していましたが、余り症状は出ませんでした。前日早めに寝たので睡眠不足がなかったからなのかなと推測しています。
五丈岩、山頂付近の広場には平日でしたが結構な人数の人がいました。恐らく10~20人ほどはいたと思います。スペースはかなり広いので余り気にはなりませんでした。
~次ページへ続く~